Cosmophysics Group Seminar(2010)
24-Feb-2011
石橋明浩 「Variational principle in theories of gravity」
参考文献: Seifert and Wald PRD75,084029 (2007)
3-Feb-2011
松本光洋 「ブラックリングの蒸発の終状態の解明に向けて」
27-Jan-2011
大山祥彦 「21cm線の観測によるニュートリノ質量の制限」
アブスト: ニュートリノ振動の観測はニュートリノに質量が存在することを示したが、ニュートリノの質量の絶対値を得ることはできない。一方でCMBの観測からもニュートリノ質量の制限は得られており、この場合ニュートリノ質量の和に対する制限を得ることができる。将来的な21cm線の観測による再電離時の探査は、より強いニュートリノ質量の和に対する制限を与えると期待される。さらにニュートリノの和に対する制限を超えて、ニュートリノ質量の階層性や個々のニュートリノ質量の測定もできる可能性もある。 参考文献: Jonathan R. Pritchard, Elena Pierpaoli, "Constraining massive neutrinos using cosmological 21cm obsaervations" arXiv;0805.1920 Jonathan R. Pritchard, Elena Pierpaoli, "Neutrino mass from cosmological 21 cm observations" Nuclear Physics B (Proc. Suppl.) 188 (2009) 31-33
20-Jan-2011
川中宣太 「511keVラインは天体起源の宇宙線陽電子のプローブになりうるか?」
参考文献: Prantzos et al. arXiv:1009.4620 and references therein
6-Jan-2011
吉野裕高 「Gauss-Bonnet 重力におけるブラックホール初期空間」
アブスト:
ガウス・ボンネ重力は高次の曲率項を持つラグランジアンから導か れるが、 3次や4次の微分が方程式にあらわれない性質の良いの重力理論であり、 高次元アインシュタイン重力に非自明な修正を与える。この理論は、ある タイプの超弦理論の低エネルギー極限としても導かれるので、興味深い理 論である。アインシュタイン重力を数値シミュレーションする方法である 数値相対論のガウス・ボンネ重力への拡張は鳥居、真貝によって一部議論 されたが、具体的なシミュレーションはまだおこなわれていない。初期条 件は拘束条件を解いてもとめなければならないが、ここでは、1体および 2体ブラックホールの初期空間の数値生成に成功したので紹介する。この 初期空間を用いて、高次元時空では特別な場合に証明され、一般的に成立 されていると期待されているペンローズ不等式がガウス・ボンネ重力でも 満たされているか議論する。
参考文献: T. Torii and H. a. Shinkai, "N+1 formalism n Einstein-Gauss-Bonnet gravity," Phys. Rev. D78 (2008) 084037.
16-Dec-2010
中山和則 「Axion-photon conversion in the early Universe」
アブスト:
Axion-like particle (ALP) は標準模型の拡張や超弦理論でしばしば現れる非常に軽い粒子であり、 様々な方法でその探索が進められている。 特に磁場中でのaxion-photon conversionに基づいた地上実験や天体物理的考察は数多く行なわれている。 今回は、ALPに対する宇宙論的制限について議論する。
9-Dec-2010
郡和範 「長寿命超対称荷電粒子と宇宙の大規模構造
Long-lived charged SUSY particle and large-scale structure」
アブスト:
超対称性理論では、スカラータウレプトンなど、電荷をもつ未知の長寿命粒子 の存在が予言されている。一般的に、ダークマターのように初期宇宙において 宇宙のエネルギー密度をある程度大きく占める成分が、そのような電荷を持っ ている場合、これまでの標準的な宇宙論が大きく変更を迫られることになる。 今回のセミナーでは、そうした長寿命荷電粒子が標準的な宇宙論、特にビッグ バン元素合成、大規模構造形成、宇宙マイクロ波背景放射に与える影響を議論 する。
2-Dec-2010
井岡邦仁 「蟹星雲のガンマ線変動について
On Gamma-Ray Variabilities of the Crab Nebula」
アブスト:
蟹星雲は望遠鏡を補正する標準光源として用いられてきた。最近その常識を覆すようなガンマ線変動が観測された。今回はその原因をレビュー、議論する。
The Crab nebula has been used as a reference source to calibrate telescopes. Recently, defying this common view, the gamma-ray variabilities of the Crab nebula has been discovered. We review and discuss the origin.
参考文献:
Abdo+, arXiv:1011.3855
Komissarov & Lyutikov, arXiv:1011.1800
Bednarek & Idec, arXiv:1011.4176
25-Nov-2010
松本光洋 「ブラックリングのホーキング輻射について」
参考文献:
Cardoso,Dias and Yoshida, Phys.Rev.D72:024025,2005
Nomura,Yoshida,Tanabe and Maeda, Prog.Theor.Phys.114:707-712,2005
4-Nov-2010
小玉英雄 「ACTの最近の結果と宇宙物質組成」
アブスト:
mm波帯でのCMB地上観測ACTの最近の結果を紹介し,その宇宙物質組成についての帰結について考察する.
参考文献:
J. Dunkley et al : arXiv:1009.0866
28-Oct-2010
石橋明浩 「Black Holes in String Axiverse」
アブスト:
ブラックホールとアクシオンの系を重力波でプローブすることを議論する。
参考文献:
Arvanitaki & Dubovsky 1004.3558
21-Oct-2010
富沢真也 「コンパクト化されたブラックホールの境界値問題」
アブスト:
We show a uniqueness theorem for Kaluza-Klein black holes in the bosonic sector of fivedimensional minimal supergravity. More precisely, under the assumptions of the existence of two commuting axial isometries and a non-degenerate connected event horizon of the cross section topology S3, or lens space, we prove that a stationary charged rotating Kaluza-Klein black hole in five dimensional minimal supergravity is uniquely characterized by its mass, two independent angular momenta, electric charge, magnetic flux and nut charge, provided that there does not exist any nuts in the domain of outer communication.
参考文献:
e-Print: arXiv:1007.1183 [hep-th]: to be published in PRD
9-Sep-2010
齋藤惠樹 「ボイド宇宙モデルにおけるCMB温度非等方性」
29-Jul-2010
川中宣太 「パルサー起源の電子・陽電子超過に関する研究の現状」
参考文献:
Kawanaka, Ioka and Nojiri 2010, ApJ, 710, 958
Kawanaka, Ioka, Ohira and Kashiyama 2010 in prep.
Kashiyama, Kawanaka and Ioka 2010 in prep.
Heyl, Gill and Herquist 2010, MNRAS, 406, L25
Delahaye, Lavalle, Lineros, Donato and Fornengo arXiv:1002.1910
22-Jul-2010
後藤孟 「球対称時空の中心からずれた場所で観測されるCMBの偏光」
15-Jul-2010
水田晃 「相対論的ジェットの伝播のダイナミックスとバックフローによるフィードバック効果」
アブスト:
宇宙ジェットは原始星や銀河中心の巨大ブラックホール等と、 それを取り囲む降着円盤をエンジンとして双極方向に噴出する収束した超音速プラズマ流である。 このようなジェットは宇宙の様々なスケールで見られ、中心天体に落ち込むエネルギーの一部を 周辺物質に解放し、様々な影響を及ぼす。 中心エンジンが相対論的天体(ブラックホール、中性子星)の場合、 速度が光速に近い相対論的ジェットが出ていることが観測から知られており、 その伝播距離はエンジンの大きさに比べて10桁以上もの距離にも及ぶ。 長距離伝播においてジェットの収束を支えるのは、 ジェット先端のホットスポットから横方向に回り込んだガスが形成するコクーンの圧力であり、 コクーンガスとジェットの相互作用によって、ジェットの収束、伝播効率などが決まると考えられる。
周辺物質中を伝播するジェットの先端の移動速度は多くの理論解析では 一定速度が仮定されているが、近年の数値流体シミュレーションでは 先端の移動速度に関して減速するフェーズが発見されている。 減速相の起因とそのメカニズム、ジェットパラメータ依存性について紹介する。
また、伝播効率の悪いジェットで見られるジェット先端からのバックフローに注目し、 コクーン中の乱流構造や、ジェットのダイナミカルなピンチ効果など、 ジェットのダイナミックスに及ぼすフィードバック効果を、 従来の静的コクーン描像とは異なった視点で議論する。
24-Jun-2010
松本光洋 「ブラックリングのホーキング輻射」
アブスト:
ブラックリングがHawking輻射に対して安定かどうかを, S^1の半径がS^2の半径に比べて十分大きな場合について議論する. このことの途中経過を,関連する背景とともに報告する.
17-Jun-2010
大平豊 「超新星残骸における無衝突プラズマ現象」
アブスト:
超新星残骸は、1PeV程度までの宇宙線の起源と考えられている。 近年のX線観測により、以下のことが明らかとなっている。
・電子も100TeV程度まで加速されている。
・電子は1keV程度にまで加熱されている。
・衝撃波近傍で磁場が3μGから100μG以上に増幅されている。
しかし、これらの物理機構は未だよく分かっていない。 超新星残骸は、クーロン散乱が無視できる無衝突プラズマ系である。 加速、加熱、磁場増幅は、無衝突プラズマ不安定性によって励起された プラズマ波動や、波動粒子相互作用によって説明できると考えられている。 今回は、超新星残骸で生じるプラズマ不安定性についての最近の研究と、 電子加熱・加速、磁場増幅について紹介します。
10-Jun-2010
中山和則 「アクシオンの物理 Part II」
アブスト:
引き続き、QCDアクシオンの現象論的側面に関して解説します。
1. アクシオン検出実験
(レーザー実験、太陽アクシオン望遠鏡、マイクロ波空洞、等)
2. アクシオンの宇宙論
(アクシオン暗黒物質、等曲率揺らぎとCMB、非ガウス性、等)
20-May-2010
中山和則 「アクシオンの物理 Part I」
アブスト:
QCDアクシオンの現象論的側面に関して、以下の順に簡単に解説します。
1. アクシオンと天体物理
2. アクシオンの宇宙論
3. アクシオン検出実験
特に、アクシオンが作る等曲率揺らぎの非ガウス性について、最近の仕事 を紹介します。
13-May-2010
郡和範 「Generation of the non-gaussian curvature perturbation from preheating in inflationary Universe」
アブスト:
We see how the perturbation of a light field might affect preheating and hence generate a contribution to the spectrum and non-gaussianity of the curvature perturbation. We give general expressions based on the ¥delta N formula, and apply them to the case of quadratic chaotic inflation. In particular, we show "modulated preheating" in quadratic chaotic inflation can produce sizable amount of non-gaussianity, |f_{¥rm NL}| ¥sim O(1) - O(10).
6-May-2010
井岡邦仁 「Very High Lorentz Factor Fireballs and Gamma-Ray Burst Spectra」
アブスト:
We investigate the dynamics of a fireball with dissipation under the photosphere, and find that the fireball can be accelerated to a very high Lorentz factor (VHLF) Gamma ~ 10^4--10^6, larger than the conventional upper limit ~10^3. We apply the VHLF fireballs and reproduce the recent Fermi/LAT bursts, including the extra GeV emission, GeV onset delay, etc. These results suggest that the baryon load is controlled by the environment of the progenitor. We predict the anti-correlation between TeV neutrinos and extra GeV gamma-rays, which may be detectable by IceCube.
15-Apr-2010
小玉英雄 「インフレーションによる重力波偏光の生成」
アブスト:
重力Chern-Simons項とインフラトンが結合すると,インフレーションにより生成される重力波には円偏光が生じる.このメカニズムと観測への影響に関する基礎的な事項およびこのようなモデルの理論的背景について紹介する.
参考文献:
A. Kosowsky: Ann. Phys. 246, 49-85 (1996)
M. Kamionkowski, A. Kosowsky, A. Stebbins: PRD55, 7368 (1997)
A. Lue, L. Wang, M. Kamionkowski: PRL83, 1506 (1999)
S. Kawai, M.a. Sakagami, J. Soda: PLB437, 284(1998)
M. Satoh, S. Kanno, J. Soda: Phys. Rev. D77, 023526 (2008)